2023/02/02 13:59


麻の生地にゴールドの箔押しで “Svensk Form” (スウェーデンの形)と書かれただけの装丁。見た目だけでは中身が想像できないシンプルで美しいこの本は、1961年スウェーデンで出版されました。 Ake Stavenow と Ake H. Huldtによって作られたこの本には1950年代のスウェーデンの優れたデザインが集結されています。

著者オーケ・スターヴェノブは、スウェーデン国立芸術工芸デザイン大学"Konstfack"の学長、もうひとりのオーケ H.フルトゥは、スウェーデンのデザイン組織Svensk Formの代表、またスウェーデン国立芸術工芸デザイン大学の教授であり、1955年にヘルシンボリで行われた伝説的なスウェーデンデザイン博覧会「H55」のキュレーターでもありました。どちらも当時のスウェーデンデザイン運動の中心的人物でした。





270ページにわたる本書の前半は当時のデザイン学校の様子や作家のアトリエ、製鉄所やガラス工場、エキシビジョン等の様子を伝えるもので、スウェーデンを代表するデザイナースティーグ・リンドベリがアートやデザインを教える姿や、彼の生徒であり、現在ガラスアーティストとして活躍するバーティル・ヴァリーンが授業に耳を傾ける姿が載っています。後半は機能的、かつ美しく、生活を豊かにする陶磁器、ガラス、テキスタイル、家具、車、家電など多岐にわたって紹介されており、当時の最先端のデザインが一同に見られます。

ヴィッケ・リンドストランド、エリック・ホグラン、バーント・フリーベリ、カール・マルムステン etc、名前を聞いたことがある人もない人も北欧のデザインを知っている人も知らない人も楽しめるスウェーデンのデザイン黄金期がぎっしりと詰まった一冊です。