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【北欧アンティーク民藝】スウェーデン 19世紀 スヴェープアスク(曲げ木箱) - 時を超えた黒

¥50 税込

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北欧、特にスウェーデンの素朴な暮らしの中で長く愛用されてきた伝統的な木工品、スヴェープアスク (svepask) をご紹介します。これらのユニークな曲げ木製の容器は、スウェーデンの田舎で人々の日常生活に不可欠な道具であり、伝統的な スロイド (slöjd) すなわち手工芸 の精神と創意工夫を体現しています。
この特定のスヴェープアスクは19世紀に製作されたものと考えられます。元々は木材本来の風合いを活かした仕上げだったと考えられますが、おそらく20世紀初頭に深い漆黒に塗り替えられました。これは当時の家庭で流行した美意識や、特定の用途への適応を反映しているのかもしれません。
手仕事ならではの完全に均一ではない形、円形でありながらもわずかに揺らぎのある形状が、大量生産品にはない温かみと個性を与えています。サイズは円周が約17.6cmから18cm、高さが約10cmです。使い込まれて擦れた漆黒の表面からは、下地の木材の色がわずかに覗き、独特のパティナ(古艶)と奥行きのある表情を生み出しています。このような本物の使い込みによる風合いは、アンティークの民芸品において高く評価されます。
この小さな箱は、単に日用品を収めるだけでなく、空間に静かな存在感を放ちます。北欧の厳しい自然と人々の暮らしの中で育まれた 民藝 (folk art) の精神を感じさせる、唯一無二のディスプレイアイテムとなるでしょう。

商品詳細
• 国: スウェーデン
• 年代: 19世紀(黒塗装はおそらく20世紀初頭頃)
• サイズ: 円周 約17.6~18cm, 高さ 約10cm
• 素材: 木製
• 状態: 経年による傷、シミ、塗装の剥がれが見られます [以前の説明]。完璧な円形ではありません [以前の説明]。オリジナルの木の釘はごくわずかで、多くは後年施された釘による補修跡があります。これらの状態は、この箱が長く大切に使われてきた歴史と、歴史ある民藝品ならではの風合いとしてお楽しみいただけます。

スヴェープアスクの歴史と製作方法
スヴェープアスクの製作には、スヴェープテクニーク (svepteknik) と呼ばれる伝統技法が用いられます。この技術は非常に古くから行われており、木製のスヴェープケール (svepkärl - 曲げ木製容器) の最も古い確実な例は青銅器時代まで遡り、オーストリアアルプスで発見されています。スウェーデンでは、ヴァイキング時代のスヴェープケールの痕跡が見つかっています。ヴァイキング時代のノルウェーの墳墓からも見つかっています。スウェーデンでは鉄器時代に一般的になり始めました。1400年代以降の絵画にも多く見られます。古代エジプトの墓からも約4000年前の例が見つかっています。この技術は中央ヨーロッパから北欧に広がったと考えられています。
スヴェープテクニークでは、丸太から木の繊維の方向に沿って薄い木片(スパーン spån)を注意深く割る という準備工程が重要です。この準備により、木材は割れることなく曲げることが可能となります。木片の厚さは、容器の大きさによって異なりますが、通常は 約2ミリメートルから12ミリメートル程度 です。使用される木材としては、マツ、カバ、ヤナギ、トウヒなどがあります。カバ材は裂けやすく、無味であるため食品容器に適しています。樹皮に近い外側の木材が使われることもあります。秋から冬にかけて木材を伐採すると、曲げる際に粘りが出るとする回答者もいます。裂く際には、裂きナイフと手を使う方法や、手でスパーンを引き裂く方法などがあります。手斧やバンドナイフ(bandkniv)、スカヴェ(skave)といった手工具も用いられます。
木片はその後、蒸気で柔らかくしたり、お湯に浸けたりして柔軟性が与えられます(この技法は バスニング (basning) と呼ばれます)。これにより木材中のリグニンが軟化します。柔らかくなった木片は、型を使って、あるいはフリーハンドで、望みの円形または楕円形に曲げられます 。膝の上で曲げるフリーハンドの方法もありました。木片の両端を重ね合わせて側壁が作られます 。
側壁の継ぎ目は、かつては根(カバの根、トウヒやネズの根)や、木片自体、腱、あるいは鳥の羽根軸などで縫い合わせられていました [以前の説明, 6, 62, 92]。スウェーデン北部ではチェーンステッチ(kedjesömmar)、南部ではスネールイステッチ(snärjsömmar)が使われることが多かったようです。底板はしばしば木の釘で接合されました。特にスウェーデン北部では、底板に段差を作り、そこに側壁をはめ込んで縫い合わせる技法が見られます。一方、南部では底板を側壁の内側に配置して木の釘で固定することが多かったようです。この特定の箱の側面の継ぎ目には、元々は小さな木の釘で固定されていた痕跡が残っており、後年により頑丈な鉄の釘で丁寧に修繕されています。
スヴェープアスクには様々な種類や形があり、大きさや用途も多様です。日用品や食料品(バター、クネッケブロード、粉、塩など)、衣類や身の回りのものを入れるのに使われました。旅行用の箱(färdskrin)としても使われました。液体を入れても漏れないように作ることも可能でした。サーミの人々にとっては、持ち運びが容易であることから、移動式住居(コタ)における唯一の家具として不可欠なものでした。計量容器(målkärl) や、ふるい(siktar) の枠としても作られました。蓋が箱の外側にかぶさる「スヴェープアスク」の他、蓋が側壁の間に収まりロックできる「エスカ(äska)」、取手付きの籠「スヴェープコルグ(svepkorg)」、大型で金具が付いた「スヴェープスクリン/スヴェープキスタ(svepskrin/svepkista)」 などがありました。「エスカ」はかつて女性のハンドバッグとしても使われたそうです。
装飾は様々で、無装飾のものから、彫刻(karvsnitt)、焼き絵、またはペイントが施されたものまであります。南スウェーデンやノルウェーでは焼き付け装飾が人気でした。中スウェーデンでは彫刻や切り込み、動物モチーフも一般的でした。北スウェーデンでは装飾は控えめでしたが、1700年代からはペイントが人気になりました。アンティーク品には、しばしば ローゼモーリング (Rosemaling - バラの絵付け) と呼ばれる伝統的なペイントが施されています。これは地域によって特徴が異なります。装飾は、全面を埋め尽くしたり、自然のモチーフを様式化したり、象徴的なメッセージを込めたりすることがありました。
現代でもスヴェープテクニークは行われており、機械化された工程もありますが、パン皿や収納容器として機能的な役割を持ち、その美学も現代人に評価されています。中世市場やLARP(ライブアクションロールプレイング)コミュニティからの関心もあり、手で木を裂く伝統技法への注目も再び高まっています。ワークショップやコースも開催されています。

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