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グンナー・ニールンド作 ロールストランド 1960年製 禾目天目 青釉 おちょこ

¥12,000 税込

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1. 序章:北欧と東洋の美の邂逅

本作品は、20世紀半ばのスカンジナビア・モダニズムの革新的な精神と、東アジアの古くから尊ばれる陶磁器の伝統がシームレスに融合した、稀有で魅力的な芸術的対話の証です。スウェーデンの名門ロールストランド社のためにグンナー・ニールンドが制作したこの逸品は、その卓越したデザインと、極めて珍しい鮮やかな青色で表現された「禾目天目」釉薬が特徴です。天目釉の概念は中国の建窯に起源を持ち、日本では非常に重要な文化的価値を持つとされています。一方、グンナー・ニールンドはスウェーデンを代表する著名なデザイナーであり、ロールストランド社はヨーロッパで2番目に古い歴史を持つ由緒ある窯元です。このおちょこは単なる実用的な器に留まらず、芸術的な国境を越えた交流と大胆な創造性を物語る、収集価値の高い美術品です。著名なスウェーデンのモダニズムデザイナー(ニールンド)と製造元(ロールストランド)が、古くから伝わる東アジアの特定の釉薬(天目)を組み合わせたことは、文化間の融合を明確に示唆しています。天目釉は中国と日本の陶磁器史に深く根ざしていますが、1960年代にスカンジナビアの芸術家によってその技法が用いられたことは、意図的な芸術的選択と、これらの美学を再解釈し統合しようとする試みがあったことを示しています。この融合は、単なる装飾品を超え、国際的な芸術的対話の重要な遺物として作品の価値を高めており、現代のデザイナーがいかに多様な世界的伝統から着想を得ていたかを示唆しています。

2. グンナー・ニールンド:北欧陶芸界の革新者

グンナー・ニールンド(1904-1997)は、20世紀の陶芸界において最も著名な人物の一人として広く認識されています 3。パリでフィンランド系スウェーデン人の彫刻家である父と、デンマーク人の陶芸家である母の間に生まれたニールンドは 3、ヘルシンキでの初期の訓練とコペンハーゲンでの建築学の学習を通じて、彼の画期的な陶芸革新のための独自の強固な基盤を築きました。
彼のキャリアにおいて最も重要な時期は、1931年から1958年または1959年までロールストランド社の芸術監督を務めた期間です。この間、ニールンドは「ロールストランドをモダニズムへと導き」、「創造的な責任者でありデザインリーダー」として、同社の美的方向性を形成する上で中心的な役割を果たしました。彼のリーダーシップは、ヨーロッパで最も歴史があり、権威ある陶磁器メーカーの一つであるロールストランド社の作品に多大な影響を与えました。
ニールンドの作品は、「モダンなフォルム」と「マットな長石釉」の卓越した技術によって特徴づけられます。彼は常に「新しいフォルム、素材、釉薬、装飾を試したい」という飽くなき探求心を持っていたことで知られています。この実験的な姿勢は、彼が天目釉のような複雑で反応性の高い釉薬を採用し、革新的な再解釈を行った背景を形成しています。彼の作品は、現在「引っ張りだこ」、「世界中のコレクターが追い求めて止まない」 と評されるほど、世界中のコレクターから高い評価を受けています。
本作品が制作された1960年は、ニールンドの継続的な多作で影響力のある活動期間に当たります。彼は1959年に芸術監督の職を終えた後も、1960年代を通じてDomino、Ritzi、Zenitといった注目すべきシリーズをデザインし、活発に活動を続けました。このおちょこは、彼が釉薬とフォルムの探求を継続していたことを示すものであり、彼の芸術的な活力と陶芸の限界を押し広げようとする揺るぎない姿勢を実証しています。

3. 禾目天目釉:深淵なる青の輝き
「天目」釉薬の伝統は、中国の南宋時代(1127-1279年)に建窯で制作された建盞に起源を持つ豊かな歴史を誇ります。その名は、これらの特徴的な鉄釉の碗が茶の湯に用いられた天目山(天目)の寺院に由来します。これらの碗は、鎌倉時代から室町時代にかけて日本に伝来すると、その独自の釉薬効果と哲学的魅力から、曜変、油滴、禾目といった尊ばれる種類に細かく分類され、非常に高い評価を受けました。
「禾目」(のぎめ)という名称は、文字通り「稲穂の芒(のぎ)」や「兎の毛」を意味し、釉薬表面に現れる繊細な筋状の模様を的確に表現しています。この魅惑的な模様は、通常1230~1250℃の高温で還元焼成される際に、釉薬中の鉄分が結晶化し、流下することによって形成されます。焼成中の釉薬の加熱・冷却サイクルにおける固有の変動性や「窯変」と呼ばれる偶発性により、一つとして同じものがない、唯一無二の作品が生まれます。
伝統的な禾目天目釉が、豊かな茶色、黒、または赤茶色を主とする中で、本作品に見られる深みのある青色は極めて異例です。禾目天目には青藍色や青灰色といった稀なバリエーションが存在することが文献で示されていますが、本作品の鮮やかな光沢は特に目を引きます。この魅惑的な青は、単なる顔料ではなく、「ナマコ青」とも呼ばれる複雑な「物理的な現象」 です。これは、釉薬中に微細な酸化鉄粒子が懸濁し、光線との精密な相互作用によって青色に発光することで生じます。この現象は、釉薬の化学的組成と焼成条件に対するニールンドの高度な理解と制御がなければ、このような稀有で鮮やかな効果を意図的に生み出すことは困難であったことを示唆しています。
この青い禾目天目釉の採用は、ニールンドの作品群において極めて重要な意味を持ちます。彼の釉薬に対する実験的なアプローチや、ロールストランドでの制作において多様な青色を頻繁に取り入れていたことは、彼がこの古代の技法を意図的に、そして見事に再解釈したことを示唆しています。さらに、ロールストランド社のカール=ハリー・スタールハンやグスタフスベリ社のスティグ・リンドベリなど、他の著名なスカンジナビアのデザイナーも「日本の天目釉」を探求し、使用していたことが確認されています。この事実は、天目釉の採用がスカンジナビアの現代陶磁器における広範で意識的な芸術的潮流の一部であったことを示しており、ニールンドの東洋と西洋の革新的な融合を裏付けています。したがって、本作品は、ニールンドが伝統的な東アジアの技法に、明確に現代的で北欧的な感性を吹き込み、陶芸の境界を押し広げた証として存在しています。

4. 作品の細部:画像から読み解く美

本おちょこの最も際立った特徴は、その内側を支配する深く、輝くような青い釉薬です。この魅惑的な色合いは、外縁の豊かでほとんど墨のような紺色から、中心に向かうにつれて明るく、この世のものとは思えないようなスカイブルーへと変化し、深遠な奥行きと宇宙的な魅力を生み出しています。表面は高い光沢を放ち、周囲の光を驚くほど強く反射し、液体のような外観を際立たせ、触覚的な探求を誘います。
青い広がりの中に繊細に織り込まれているのは、中心から優雅に放射状に広がる細い毛のような筋です。これは「禾目」(兎の毛)模様の典型的な特徴です。これらの微妙な線は、濃淡が異なり、光を捉えることで玉虫色の輝きを放ち、まるで光のきらめく糸や兎の毛の繊細な質感を思わせます。これらの筋の精密さと自然な流れは、焼成中の釉薬の挙動に対する卓越した制御を示しています。
碗のまさに中心部では、釉薬が溜まって劇的に明るくなり、明確で輝くような白または淡い青の「眼」を形成しています。この中心の焦点は見る者の視線を内側に引き込み、無限の奥行きの錯覚を生み出し、作品に天体的で、ほとんど瞑想的な質を与えています。これは放射状の模様の視覚的な中心点として機能しています。この深遠な青、放射状の筋、そして輝く中心の「眼」の相互作用は、強い「宇宙的」または「天体的」な美学を創り出しています。この視覚効果は、天目(Tenmoku)の語源である「天の目」(Heaven's Eye)を微妙に反映しており 1、機能的な器を瞑想的な芸術作品へと昇華させ、鑑賞を促します。
おちょこ自体は、直径約7cm、高さ約2.2cmと正確に計測された、完璧にバランスの取れた優雅なフォルムを持っています。わずかに円錐形を帯びたその形状は、伝統的な天目茶碗によく見られる特徴であり 1、快適で安定した持ち心地を保証します。縁の部分は、焼成中に釉薬が重力によって薄くなる傾向があるため、微妙な変化を見せており、本格的な天目作品の釉薬の流れに特徴的な、暖かみのあるわずかに茶色がかった色調が現れている可能性があります 15。
天目釉の固有の性質に忠実に、このおちょこの外観は静的ではありません。その美しさは、光の条件や見る角度によって劇的に変化します 13。青色は深まったり明るくなったりし、「禾目」の筋はより際立ったり、微妙に変化したりすることで、継続的な視覚的発見と、見る者にとって魅力的でインタラクティブな体験を提供します。この作品の美しさは固定されたものではなく、ダイナミックで相互作用的です。釉薬が様々な光の条件や見る角度に反応する様子は 13、所有者が物理的に作品と関わること、すなわち、手に取り、回し、その微妙な変化を観察することを促します。これにより、触覚的および体験的な価値が高まり、より個人的で魅力的な芸術作品となっています。

5. コレクターズアイテムとしての価値と用途

本おちょこは、芸術的な熟練と文化的な融合が交差する、極めて稀な発見です。グンナー・ニールンドがロールストランド社のために制作した作品は、世界中のコレクターから「引っ張りだこ」、「世界中のコレクターが追い求めて止まない」と評されるほど、非常に高く評価されています。伝統的な色合いから逸脱した稀少な青い禾目天目釉が加わることで、その独自性と収集価値は著しく高まり、ニールンドの広範な作品群の中でも際立った存在となっています。
この作品は、ニールンドの開拓者精神と多様な美的影響への受容を示す説得力のある証であり、スカンジナビア・モダニズムと東アジアの古代陶磁器の伝統との間の隔たりを見事に埋めています。単なる美しいオブジェではなく、20世紀半ばの進化するグローバルな芸術風景を体現する歴史的遺物であり、異文化間のインスピレーションと革新の時代を反映しています。ニールンドがコレクターの間で高い評価を得ているデザイナーであるという事実は、すでにその作品の価値を示しています。この作品の価値は多面的であり、物質的な価値を超えて、20世紀の進化するグローバルな芸術風景を反映する文化的遺物としての役割を包含しています。この点が、伝統的なスカンジナビアデザイン愛好家から東アジア陶磁器の愛好家、さらには異文化間の芸術的対話に関心を持つ人々まで、幅広いコレクター層にアピールする要因となっています。天目釉、特に稀少な青色とのユニークな組み合わせは、彼の多様な作品群の中でも際立っており、天目自体が歴史的に珍重されてきたこと 1、そして他のロールストランドのデザイナーも天目釉を探求していたことが、この融合の正当性を裏付けています。この組み合わせは、複数の収集分野に訴求するため、全体的な市場需要と長期的な価値を高めます。
ニールンドの不朽の遺産、スウェーデンで最も著名な陶磁器デザイナーの一人としての地位、そしてユニークな異文化デザイン作品への評価の高まりを考慮すると、この稀少なおちょこは、目の肥えたコレクターにとって強力な投資の可能性を秘めています。その希少性と独特の美学は、ヴィンテージ美術市場におけるその魅力を保証します。
「おちょこ」として完璧なサイズと形状を持ち、「酒器としてはとても贅沢な一品」と評されるように、その深遠な美的魅力は、理想的なディスプレイオブジェとしても機能します。どんなコレクションにおいても魅力的な会話の種となり、貴重な小物を入れる器として、あるいは単に日常の瞑想的な美の源として、その鑑賞には多様性があります。おちょことしての機能性と、魅惑的なディスプレイピースとしての二重の性質は、その多用途性と幅広い層への魅力をさらに高めています。

6. 商品情報

デザイナー (Designer) グンナー・ニールンド (Gunnar Nylund)
製造元 (Manufacturer) ロールストランド (Rörstrand)
製造年 (Year of Production) 1960年
シリーズ/釉薬 (Series/Glaze) 禾目天目 青釉 (Nogime Tenmoku Blue Glaze)
種類 (Type) おちょこ (Sake Cup)
寸法 (Dimensions) 直径 約7cm, 高さ 約2.2cm
素材 (Material) ストーンストーンウェア (Stoneware)
状態 (Condition) 良好なヴィンテージコンディション (Excellent vintage condition)




ロールストランド社のグンナー・ニールンドの1960年の禾目天目のおちょこです。直径7㎝、高さ2.2㎝。

■国:スウェーデン
■会社:ロールストランド
■デザイン:グンナー・ニールンド
■年代:約1960年
■サイズ:約 Φ7cm 高さ2.2cm
■素材:炻器、禾目天目
■状態:

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